目線を合わせず「これいただいて行きます」が、自社商品引き上げの唯一のセリフだ
2019年02月06日(水)
自社製品だろうが、勝手に引き上げると窃盗罪
倒産直前の会社から、自社製品を引き上げようとする場合、
かりに、自社製品であったとしても、勝手に引き上げたら「窃盗罪」になります。
窃盗罪に該当しないようにするには、どうすればよいでしょうか。
窃盗罪の要件
窃盗罪の要件は、
- 他人が占有する物(←所有は問わない)の
- 占有を奪う
という2要件です。
占有を「奪う」と書きましたが、これにも要素があり
b-1占有者の意思に反して
b-2占有を自己の管理下に置く
という2つの要素に分解できます。
仮に自社のものだろうが、占有者の意思に反すれば、アウトなわけです
「意思に反する」ことを証明するには?
刑事事件になるためには、意思に反することを、捜査機関が証明しなければならないわけです。
誰もいないときに、勝手に持っていったというのは、「意思に反するような行動だから、ひっそり持っていったんだろ」といえるので、意思に反すると言いやすいわけです。
また、「持っていきますが、いいですね?」と確認して、現場の人が「ちょっと」なんていうと、「ちょっとと止めているんだから、意思に反していただろ」といえるわけです。
こういう、その当時の発言があったことを捜査機関が証明していくわけです。
質問形でない宣言が、なぜ強いのか
質問する形ではなく、「持っていきます」という宣言をすると、特に現場の人も反論しないことが多いです。
そうすると、意思に反したという証拠が残らないわけですね。
警察も、黙認した可能性があるとして、なかなか動いてくれなくなるわけですね。
だからこそ、自社製品の引き上げは、目線を合わせず「これいただいて行きます」が最強なわけです
弁護士 杉浦智彦
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