取引債権の仮差押えは勝負を決めてしまう?
仮差押えとは?
仮差押とは、名前のとおり、「仮に差押えをする」ことです。
何が「仮」かというと、勝訴するまでの間、当該財産を売ったり、お金に変えたりできなくなるということです。
これ、不動産などだと、単に登記される程度なのですが、取引債権だと、エグい効果があります。
取引債権の仮差押えがなされると?
取引債権の仮差押えがされると、まず、その取引先に、裁判所から、「払うな。払っても意味ないからな」という仮差押えの連絡(「弁済禁止命令」といいます)が入ります。
これ、払ってはいけないという効果だけではなく、「この会社まずいんじゃないか」という業界評判を急降下させる効果があります。
そのため、取引債権が仮差押えされただけで、会社としては大損害なのです。
逃れるためには債務額と同額のお金をすぐに用意しなければならない
仮差押えがされてしまうと、その弁済禁止命令を消すためには、その差押えの金額とほとんど同じ額を供託という形で預けなければなりません。
ふつう、そんなお金を用意することは難しいわけですね・・・。
もし用意してもらえれば、債権者としては勝訴して簡単に債権回収ができるわけですし、
勝訴できないにしろ、債務者としては早く解決しないと、お金をどうにもできないので、早く事件を終わらせるインセンティブ=早めにお金を支払うという結論に至るわけです。
そのため、効果が絶大なわけです。
ただ、取引債権の仮差押は刺さらない
ただ、取引債権の仮差押は、なかなか刺さりません。
まず前提として、保全の必要性がなければなりません。
お金が払えなさそうな理由を明確にしなければなりません。
それだけではなく、お金にできる不動産などがないことも、示さなければなりません。
不動産があれば、そちらを先に仮差押しておけとなるわけです。
そのため、いろんな条件が重ならないと、仮差押ができません。
弁護士の相談のもと、取引債権の差押えができるか、ご検討いただければと思います。
«前へ「取引債権の差押えを免れるために別人の口座に振り込ませるのは犯罪!」 | 「仮差押がなされたあと、取り消されたり敗訴すると損害賠償義務がある?」次へ»