「約束手形」の代わりに「でんさい」を使う流れは来るのか

2019年04月03日(水)

手形は建設業を中心に現在も流通している

私なんかは、大学で、「手形は、ほとんど流通してない。裏書きなんか、あぶなくて、誰もしない」なんて言われていたのですが、実務についてから、裏書きされまくった手形が流通しているのをよく見ます。

 

とりわけ、建設業では、よく手形を見ます。

その理由は、現金化のしやすさと、支払い確保しやすいという点があります。

 

現金化のしやすさ

約束手形は、将来の日に支払うことを約束したものではありますが、

この手形を他人に渡して、代金の代わりとすることができます。

 

また、支払日前でも、銀行にいえば(手数料・割引料は差し引かれますが)現金化できるのです。

 

仕入れをしながらも、現金がはいるまでの時間が長いと言われている建設の下請けなどでは、「注文者からお金は入らないが、仕入れ代金を払う必要がある」というニーズがあり、そのために、手形を使われるのがよくあります。

 

支払い確保しやすいー不払いの場合の制裁

また、手形は、一般的に「優先して支払ってもらえる」と言われています。

その理由は、不払いになった場合(いわゆる「不渡り」)の制裁が強いからです。

 

一度でも不渡りを出せば、銀行取引停止処分がなされます。

これをされると、銀行との取引ができなくなり、運転資金を銀行から借りている会社は、事実上倒産せざるを得なくなります。

 

そんなわけで、「絶対に優先して支払わないといけない」ものになるため、支払いが確保されやすいわけです。

 

デメリット:印紙や輸送コスト、窃盗の可能性

ただ、手形には印紙がかかります。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7103.htm

 

また、手形を運搬するコストもかかります。手形が盗まれるなんていうこともあります。

 

そんなわけで、手形は、メリットがありながらも、なかなか発展途上な制度ではあるのです。

 

そこで生まれた「でんさい」だが・・・

印紙の問題や、窃盗のリスクを考えたとき、データ化するという案が浮かび、それでできたのが「でんさい」と呼ばれる制度です。

 

ただ、一般的には、なかなか流通していないというのが正直なところです。

その一番の理由は、紙媒体ではないので、なかなか対価としてもらっている気にならないというのと、現場での取引がしにくいというところだからだと思います。

 

 

メリットもある制度なので、導入したいという方は、ぜひ弁護士までご相談ください。

 

弁護士 杉浦智彦

  |