設立登記前に契約していた場合の回収先とは?

2019年05月19日(日)

会社と契約しているつもりが、その当時会社は存在しなかった?

株式会社は、法務局で設立登記がなされて、はじめて成立します(会社法49条)。

 

もし、あなたが、A会社の登記前にA会社(と名乗る者)と契約したとしても、その効果を会社に対して求めることはできないのです。

 

設立前の会社の行為は誰に帰属するのか?

設立前の行為が誰に帰属するのでしょうか。

 

裁判例もありますが、裁判所も「誰にも効果帰属しない」なんていう無粋なことは言われません。

 

実は、この場合は、「発起人」と呼ばれる、設立中の会社の代表者の立場にある人が責任を負うことになります。

 

ただ、その理屈は、「法律でそう決まっているから」というわけではありません。

むしろ、「発起人が事業のために契約してるんだから、それは、会社名をつかってようが、発起人本人のためと考えるほかない」という、結論ありきの話になっているのです。

 

裁判するなら、どういう名義になるのか?

実務上、このような設立中の会社に対しての当事者名の表記は、「A会社 こと 甲野太郎」みたいなかたちで行います。(甲野太郎は発起人・契約者)

 

弁護士 杉浦智彦

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